アマゾン通信VOL.2 2004・5・16
アマゾン通信(vol.2)……2004・5・16
●不毛な年金騒動が続く中、タバコ規制枠組条約は4月22日に衆議院本会議で全会一致で採択され通過、
5月13日、参議院外交防衛委員会で政府提案説明があったそうです。予定では来週の審議の後、採択されれば
参議院本会議へ送られるスケジュールとなります。5月31日の世界禁煙デーの頃にはどうなっているでしょうか?(それとガン細胞並に増殖する未納兄弟の運命は?)
●講演会「フードマイルズと私たちのライフスタイル 〜食料輸送の現状〜」報告
3月7日、青空の会主催講演会「フードマイルズと私たちのライフスタイル 〜食料輸送の現状〜」でコーディネーターを務めさせていただきました。講師は日本大学経済学部専任講師の根本志保子さん。環境経済学の若手研究者です。
フードマイルズとは、食料が生産地から消費者に届くまでの距離のことを意味しています。 移動距離が長いほど、環境負荷が大きいという事になります。
この言葉は1995年にイギリスの消費運動家 Tim Langが提唱し、主に環境問題や食料自給率に関する研究などで利用されています。
今回の講演会は私達、消費者自身のライフスタイルがどれだけのトラック物流を生み出し、結果的に環境負荷を増大させているかについてをフードマイルズという指標から見つめ直してみようと企画されました。
戦後の食生活の多様化や輸入・ハウス栽培による年間を通した作物の流通は、年ごとにフードマイルズを増大させている。また、消費者が産地からの食料の鮮度を要求し続けた結果、深夜でも運行の可能なトラック物流が食料輸送の中心になり、大気汚染をもたらす結果になっている事実は深刻な問題です。根本さんが国交省の「陸運統計要覧」から作成した資料によると、貨物自動車の品目別平均輸送キロは、1960年から2000年までの40年間でフードマイルズが大幅に増大していることを示しています。
品目別では、穀物が7.1倍、野菜・果物が5.6倍、その他の農産品3.0倍、畜産品3.2倍、水産品5.7倍になっている。
このようなフードマイルズの増大の要因としては法律による制度の影響も少なくありません。
住宅を増やすために、都市計画法の線引きや農地の宅地並課税により、東京近郊農地の宅地化率が上昇。結果的に生鮮野菜の生産地および出荷地が東京近郊から遠隔地域に移転してしまった。
また、「野菜生産出荷安定法」の影響で都市部の中央卸売り市場での過剰集中と地方の卸売市場の不足を埋めるために野菜の転送が増加していくことになる。
この都市部への集中は「卸売市場法」の改正により、市場交渉力の強い大手スーパーマーケットが卸売市場での仕入れ率を高めたことも、影響を与えている。
一度、野菜を都市部に集めてから改めて地方に送るほうが、高く売れる経済構造になっている現状もフードマイルズ増大の一因になっているようです。
結局、環境負荷を考慮せず経済効率をはかったため、 消費者の要望とともに、食料の自動車輸送システムばかりが進み、トラックによる輸送距離の増大と環境負荷は自動車単体の汚染削減を上回っている状態です。
さらに食料自給率の低下と海外からの輸入が、日本のフードマイルズを突出させ、その環境負荷は海外にも及んでいるようです。
一方、近年では「顔の見える生産者」や「食料の地産地消運動」など、環境や地域の風土に配慮した新しい流通・消費の動きも一部で始まっていることは注目すべき出来事でしょう。
今回の根本さんの講演では以上のような現状報告と、食料の大量輸送と選択肢の拡大が、環境や食生活にもたらした影響を足下から見直す必要があるとの指摘がありました。
講演後の質疑応答では、永井進・法政大教授からも「ヨーロッパではEU内の垣根が無くなってから域内物流が盛んになり、フードマイルズが増大している。そのためオランダなどではロードプライシングの代わりに距離に税金をかけるキロメーターチャージとかマイレージチャージなどが検討されている。」というお話がありました。
アメリカやアジアのBSEや鳥インフルエンザの影響で日本の牛丼等のメニューが無くなるという、お粗末な食料自給率と併せて、私達が日頃食べている食料はどこからどのように来て、食卓に届くまでの環境負荷はどうなっているのか、一度真剣に考えてみる必要がありそうです。
もちろん、交通政策としてクルマに依存しない輸送システムへの転換も今後の重要な課題ですね。
道路を造ればなんとかなるという前世紀の誤解を早く解き、物流の中心を鉄道や舟運など環境負荷のより少ない手段へ誘導するのは、CO2削減を謳った京都議定書の例を持ち出すまでもなく喫緊の政治課題であるはずです。しかし今だに選挙目当てで、高速道路無料化などという見当はずれな公約を持ち出してくる一部政党があるのは残念です。
むしろ、マイレージ・チャージのような、道路上の移動距離に課金するシステムを導入して、鉄道貨物などへのシフトを図るべきでしょう。


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